頭痛の症状があった場合に疑われる腫瘍
びまん性星状細胞腫は、肉眼的に境界は不鮮明で灰色充実性のやや柔らかい脳瘤を形成し、嚢胞を伴うことがあります。
組織的には星状膠細胞に似た形状を示す腫瘍細胞が主な構成成分です。
びまん性星状細胞腫は30歳〜40歳に発生しやすい傾向にありますが、若い人にもみられます。
また、成人であれば大脳半球、前頭葉、側頭葉、頭頂葉に多く発生しますが、小児の場合は脳幹や小脳などどの部位にも発生しやすいです。
症状は、頭蓋内圧亢進症状と局所症状の2つに分けられますが、腫瘍は脳実質内で次第に広がっていくため、びまん性星状細胞腫の発生部位と大きくなる速度によって症状が異なります。
頭蓋内圧亢進症状であれば、頭痛や嘔吐などの症状が現れるでしょう。
特に、頭痛は30%〜40%の人が訴えます。
初期症状の約15%はてんかん発作が起きると言われており、特に前頭葉や頭頂葉部腫瘍はてんかん発作が発症する頻度が高くなる傾向にあるのです。
局所症状では、腫瘍の発生部位に応じて機能障害が現れます。
腫瘍が脳室系にできたり、圧迫したりする場合、髄液の循環障害によって水頭症に伴う、急性の頭蓋内圧亢進症状が現れるケースもあるでしょう。
びまん性星状細胞腫の診断と生存率
びまん性星状細胞腫の診断はCTやMRI検査をしますが、CTでは単純CTと造影CTを比較することが重要です。
また、MRIは最も重要な検査だとされており、脳血管撮影で腫瘍部分が無血菅野として現れ、周囲の血管の圧排や偏位像をみます。
びまん性星状細胞腫は、手術で切除するのが基本です。
しかし、ゆっくりと広がっていくように発育する腫瘍であるため、全摘出が難しいとされています。
そのため、放射線や化学療法、免疫学的に補助することが大切です。
生存率は、全摘出で86%、95%以上の摘出で70.7%、75%の切除で58.2%、半分の切除で59.4%と言われています。
全摘出や95%以上摘出すると生存率は高いですが、75%の切除と比較してほとんど差はありません。
頭痛や嘔吐などの症状がある人は、びまん性星状細胞腫である恐れがあるため、放置せず正しい診断をしてもらいましょう。
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参考文献
標準脳神経外科学 第11版,P168